国鉄時代の車両区分(常磐線の例)
自分が子供の頃(1970年~1980年代)では、主要幹線での国鉄の列車区分は大雑把には「特急」「急行」「普通」等に分かれ、一部の例外を除き、使用する車両もそれぞれ明確に分かれていました。
その他に「快速」という列車区分もありましたが、自分が子供の頃に馴染んでいた常磐線では、上野-取手を走る「常磐快速」よりも中距離列車(取手以北に直通)の「普通」の方が若干停車駅が少なく速達性があったので(時代によって停車駅に違いがありますが・・・)、個人的には曖昧な認識になっています。
当時の常磐線(夜行列車などを除く長距離列車)で運用されていた車両(電車)の主力と言えば、特急型では「ひたち」の485系、急行型では「ときわ」の451・453・455系、近郊型では401系・403系・415系でした。
これら各車両の外観上の違い(特徴)をNゲージで簡単に比較してみました。
特急型(485系)
特急型車両の定義は「原則として固定編成で使用されるもので、空調設備を備え、高速運転に適した性能を持つ車両形式」とされていて、塗装やドアの数・その他仕様の詳細な定義はありません。
しかしながら、当時の特急電車の基本的な仕様(塗装や車体構造・車内設備など)はこだま型151系で確立され、基本的にはこれに準じていました。
485系では、外部塗装もこだま型151系に標準色(クリーム地に窓回り赤2号)でしたが、自分はこれに慣れ親しんでしまったため、現在のカラフルで様々な塗装の特急には、今だに違和感を感じています。
パンタグラフは直流区間での高速走行時の十分な集電を行うために、2基搭載されていました。(交流区間では1基のみ上げて走行。)
視覚的に、パンタグラフを2基上げて走行する姿は非常にカッコ良かったです。
乗降扉は1両につき片側1ヶ所で、乗降用デッキが併設されていました。
密閉され空調の効いた車内の快適性・静粛性は特別でした。
窓は完全空調のため側面窓は二重ガラス複層の固定窓でした。
普通車の座席は初期車では161系同様の転換クロスシートでしたが、その後が簡易リクラニングシート化が図られるようになりました。
ちなみに、こうした特急型の固定的なスタイル(塗装・パンタの数・固定窓・2扉デッキ付等)は、1981年の185系のデビューによって覆され、当日鉄道フアンの間で様々な議論となったのを記憶しています。
急行型(455系)
急行型車両の定義は、「客室が出入口と仕切られ、横型の座席(いわゆるクロスシート)を備え、長距離の運用に適した性能を有する車両形式」とされています。
455系の塗装は地色を近郊型と同じ赤13号(ローズピンク)としながらも、窓回りをクリーム4号の帯をまとわせ、特急のようなイメージに近づけたものでした。(交直流急行色)
パンタグラグは1基本のみ搭載。
車体構造は基本的には153系に準じた構造で、車体の両端にデッキと乗降用扉を扉を設けていました。
側面窓は「上段下降・下段上昇」の2段式窓で、普通車の座席は対面型固定クロスシート(ボックスシート)でした。
近郊型(415系)
近郊型車両の定義は、「客室に出入口を有し、横型(ロングシート)及び縦型腰掛(クロスシート)を有し、都市近郊の運用に適した性能を有する車両形式」とされています。
近郊型のスタイルは401系・421系で確立されましたが、415系では基本構造や塗装はそれらに準じています。
塗装は前面にクリーム色の帯が入るもの側面は赤13号(ローズピンク)一色でとても地味な印象。
1983年以降はクリーム10号に青20号帯の新塗装になりましたが、この頃自分は常磐線沿線の実家を離れてしまったために新塗装に馴染みがありません。
自分が慣れ親しんだ常磐線中距離電車のイメージは「ローズピンク」です。
パンタグラフは1基のみ搭載。
乗降用扉は混雑緩和を考慮して両開きタイプで、片側に3扉となっています。
特急型や急行型のようなデッキはありません。
側面は2段上昇式で、車内は、ボックスシートを基本に、戸袋部分に二人掛けロングシート・車端部に3人掛けロングシートとボックスシートを備えた、セミクロスシートとなっています。(近郊型車両標準)
なお、1982年以降増備された500番台では、混雑緩和を図るために3扉ながらオールロングシートとなり、このあたりから少しづつ近郊型の基本スタイルが変化し通勤形に近づいていきました。