静岡鉄道A3000形は、静岡清水線で運用され老朽化の進んでいた1000形の置き換え用として導入された車両で、2016年から2024年にかけて2両編成12本が導入されました。
従来運用されていた1000形は1973年から1985年にかけて導入されたもので、車歴も古いもので40年以上と高く、仕様も古く老朽化も進んでいました。
A3000形の導入により1000形は2024年6月までに全て引退となり、以降の同鉄道での運用はすべてこのA3000形に統一されました。
地方私鉄ながら在籍の全車を最新の新製車両で置き換え。
静岡鉄道は、地方ローカル線とはいっても人口69万人が住む政令指定都市/静岡市の近郊を走る路線で、列車はすべて2両編成のワンマン運転ですが、全線複線で平日は朝ラッシュ時間帯に最大1時間11本、土曜休日(終日)と平日の日中は8分間隔、首都圏・関西の大手私鉄並みの高頻度運転を行う、ドル箱路線です。
6年越しとはいえ、既存の老朽車を全て自社発注の新製車両に置き換えてしまうといった大きな設備投資は、他の地方私鉄は勿論、大手私鉄でもなかなかできることではありません。
このこと自体が、いかに同鉄道の良好な経営状態が安定しているかを示しており、「静岡鉄道恐るべし」といったところです。
JR東日本のE235系並みの最新鋭の技術
製造は日本総合車両製作所で行われたこともあり、車体では普通鋼製の先頭部を除き、E235系などでも採用されている"sustina"と呼ばれる新開発の軽量ステンレス車体が採用され(民間私鉄の編成としては全国初)、前照灯・標識灯・尾灯などでは省エネルギー化と省メンテナンス化が図られたLEDとなりました。
主回路は1C2M ×2群の制御単位で、制御方式はIGBT素子のVVVFインバータ制御、主電動機は低騒音化と保守省力化を図るため全閉式とした三相誘導電動機が搭載されました。
ブレーキ方式は回生ブレーキ併用電気式ブレーキが採用され、滑走再粘着制御付きとなっています。
パンタグラフは同鉄道初のシングルアーム式を採用、クモハA3000形の連結面側に設置されました。
静岡鉄道・清水線の条件に合わせた専用の仕様
運用される清水線の架線電圧は直流600Vの為、A3000形もこれに合わせた仕様となり、車体は既存車と同じ18m級の片側3扉車となりました。
ワンマン運転対応で、運転台のハンドルは1000形同様のT字型ワンハンドルマスコンで、室内の機器配置は1000形に準じたものとなりました。
台車はJR東日本などとは異なり、ボルスタ付き空気ばね台車となりました。
ボルスタレスが良いか、ボルスタ付きが良いのか、その採用する鉄道会社によって判断は分かれていますね。
編成は1M1Tの2両編成で、クモハ A3000形( Mc )に走行関係機器をクハA350 形(Tc)に補器類を搭載しました。
カラーバリエーション
導入された12編成のうち7編成は「Shizuoka Rainbow Trains」と称され、静岡県にちなんだ7色(編成毎に1色ずつ)のカラーリングとなりました。
残る5編成は全面広告対応のため無塗装車となりました。
鉄道コレクションでは、オープンパッケージで7色全ての編成が製品化されていますが、自分はこの全色と、無塗装車を所有しています。
「富士山」をイメージしたクリアブルーのカラーでラッピングされ、「安心・誠実」を表現しています。
「いちご」をイメージしたパッションレッドのカラーでラッピングされ、「情熱的・活動的」を表現しています。
「お茶」をイメージしたナチュラルグリーンのカラーでラッピングされ、「安全・自然」を表現しています。
「みかん」をイメージしたプリリアントオレンジイエローのカラーでラッピングされ、「暖かさ・幸福感」を表現しています。
「駿河湾」をイメージしたエレガントブルーのカラーでラッピングされ、「上品・信頼」を表現しています。
「桜エビ」をイメージしたプリティピンクのカラーでラッピングされ「かわいい・ロマンティック」を表現しています。
「ワサビ」をイメージしたフレッシュグリーンのカラーでラッピングされ、「新しさ・優しさ」を表現しています。
A3008F編成は、レインボートレインとは別のラッピング対応の無塗装車となっています。