↑ たまねぎ列車の写真はありませんので、2010年に白老で撮った写真を掲載。
タイムリーな内容でなくて恐縮です。
先日、2023年10月7日(土)の朝日新聞に鉄道貨物に関する記事が2件掲載されていました。
船・鉄道貨物量「10年で倍」 政府目標 トラック人手不足対策
朝刊の記事です。
いまや国レベルの重要な問題となっている問題です。
- 少子高齢化に伴うトラックドライバーの不足。
- トラックドライバーの労働時間規制で物流が滞るおそれがある「2024年問題」。
この対策として、政府は「物流革新緊急パッケージ」をとりまとめ、長距離トラック部分の受け皿として、輸送方法をトラックから鉄道に切り替える「モーダルシフト」を掲げています。
但し、実現へのハードルは高く・・・
鉄道については深夜帯を中心とする運行ダイヤがすでに過密とのこと増便が船よりも難しく、コンテナの空きスペースを減らし積載率を上げることが課題となる・・・としています。
供給の頼みの綱 赤字路線の重圧 タマネギ列車 険しい鉄路
夕刊の1面の記事です。
タマネギ列車というのは、あの有名な石北本線のタマネギ列車のことです。
経営難に陥ったJR北海道は、2016年に「単独では維持困難」とした10路線13区間のうち、石北本線など8路線について存続策を地元と協議し、今年までの5年間に利用者を増やす取り組みなどを続けてきました。
(石北本線の利用者はJRが掲げた目標を下回っているとのこと。)
8区間についてはJR北海道は自治体にも負担を求める方針ですが、北見市は今の段階ではなんとも言えないとのことです。
タマネギ列車は、現在1日1往復で11両編成です。
1両あたり5tコンテナ5個積載しているので、編成あたり275tの農産物(たまねぎ中心)を運んでいることになります。
2つの記事に目を通して・・・
石北本線は赤字路線である、JR北海道は地元に負担を求めようとしています。
でも、本音では赤字なので廃止にしたいと考えていてもおかしくありません。
(今のところ、貨物列車が特急列車はすぐには廃止にはできないようですが・・・)
一方で、トラック運転手不足の問題。
仮に、タマネギ列車を廃止したら、その代替えとて毎日275tの農産物を運ぶトラックが必要となりますが、現状でその受け皿となるトラックはいないと思います。
まだ、石北本線は存廃問題が具体化されていませんが・・・
話は変わりますが、地元から「もういらない」とされた函館本線の新函館北斗~長万部間(新幹線並行在来線)の存廃については・・・
本州~北海道間の貨物輸送の大動脈となっていることから、貨物輸送のために「路線の存続」の方針だけは決まったようですが、費用負担の枠組みなど具体的なことはまだ未定だそうです。
この区間も、今回の政府の発表によって存続へのお墨付きがついたように思います。
(鉄道貨物の量を10倍にすると言っているのに、この区間を廃止にはできない)
今回は北海道の鉄道貨物のことを書きましたが、全国で赤字路線を走る貨物列車は他にも多数あると思います。
しかしながら、ドライバー不足もあって、鉄道貨物輸送は今後も運用し本数を増やさなくてはなりません。
アボイダルコストルールによって経費が優遇された中で運営しても採算が厳しい鉄道貨物輸送。
結局、その赤字部分はどこは負担するのか。
朝日新聞の2つの記事を見て、そんなことまで考えてしまいました。