今回銚子電鉄を訪問したのは2023年9月16日、前回の2018年1月から5年半振りとなりました。
2010年から2015年ぐらいにかけては、デハ1000形の銀座線・丸の内線塗装変更や、従来あった既存のデハ700形・デハ800形・デハ1000形の引退、伊予鉄道からの2000形2編成譲渡など車両の動きや話題が多く、自分も何度か銚子電鉄に足を運び話題の車両を追いかけていました。
車両の動きは2016年の3000形導入でいったん落ち着き、その後は興味深い話題があまりなかったことから、コロナ禍による撮り鉄自粛もあって、銚子電鉄はしばらく訪問していませんでした。
最近になって、南海から2200系を購入しデハ2000形1本を置き換えるニュースが飛び込んできましたが、新車両が導入される前の状況を見ておこうと思ったのが、今回訪問のきっかけです。
観光鉄道に生まれ変わった銚子電鉄
銚子駅に到着した際、入口では電鉄社員の若い方が切符の拝見(自分はすでにフリーパスを所持)と列車への乗車案内を懇切丁寧にしてくださいました。
この日は土曜日(3連休の初日)で利用客(観光客)も多かったので、車掌だけでなく社員の方がサポートに入っていたものと思われますが、以前はこのような光景はありませでした。
まるでディズニーランドに入場するかのような懇切な対応に、びっくりしました。
列車が動きだして、更にびっくりしたのが車内アナウンスです。
次に停車する駅名の案内は勿論ですが、その他に走行する付近や周囲の観光アナウンスも行っていました。
「次に通過するのは、沿線で一番人気の緑のトンネルです。まるで森の中を通っているかのようなメルヘンな景色をお楽しみください」
「沿線では春はキャベツ・夏トウモロコシが取れる畑が広がっています。」
みたいな・・・(多少言葉の言い回しが違ったかもしてませんが、こんな感じで)
緑のトンネルと宣伝される、観音駅の先から続く区間を通過し、本銚子駅に到着する下り列車(この写真のみ2018年1月に撮影)
ちなみに、緑のトンネルとは、観音と本銚子の間の区間を言っているのですが、今まで何度もこの区間を通っていますが、「メルヘンな景色」なんて考えたこともありませんでした。
言われて見ればその通りで、乗客の方は森の車窓をスマホで撮影して喜んでいました。
こんなところにも、社長の唱える「エンタメ鉄道」として生き抜こうとする会社の前向きな姿勢が出ていて、非常に交換が持てました。
銚子電鉄初のリクライニングシート「ロマンスシート」
乗車した3000形、クハ3501の車端にリクライニングシートが設置されていました。
このシートは、しなの鉄道169系で使用されていたシートを同社から譲り受けたもので、デハ2002にも同様に設置されているそうです。
「ロマンスシート」という名前で2022年11月から運用が開始されています。
1編成に僅か2席ですが、観光列車なのでこのような設備があっても良いかと。
濡れ煎餅だけではない、お土産も更に充実
犬吠駅の駅舎では、以前から濡れ煎餅等お土産が売られていますが、「まずい棒」を含め、商品の種類が増えて内容もより充実しています。
お土産は犬吠駅だけでなく、終着の外川駅でも販売していました。
このうち、今回は「バナナカステラ」と「チキンカレー」を試しに購入してみました。
バナナ車掌のバナナカステラ
自宅のお土産に購入しました。
袋を開けた瞬間、バナナの香りで食欲をそそられます。
カステラ生地がふんわりと柔らかく、バナナの餡もちょうど良い甘さです。
冷やして食べても良いかもしれません。
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銚電チキンカレー
「資金枯れ~」のおやじギャグはさておき、実際に自分でも食べてみました。
辛さは程よく激辛が得意でない自分でも普通に味わうことができました。
チキンの具もちゃんと入っていて、コクと旨味があってよかったです。
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2000形の1編成が引退予定
南海より譲受した2200系はすでに譲受元の千代田工場より千葉に向けて搬送されていますが、今回の銚子訪問では見かけなかったので、まだどこかの工場で改造工事中かと思われます。
この日、2000形のうち、置き換えによる引退となる2001編成は静かに仲ノ町の車庫で休んでいました。
もう1本の2002編成はたまたまイベントがあったようでが稼働しており、日中は普段見られない笠上黒生駅での列車交換も行われていました。
いまや銚子電鉄は、観光鉄道として地元にはなくてなならない存在
午前中に乗った下り列車では、乗客は座席が7割埋まる程度でそこそこの賑わいでしたが、その中で自分と同業者(=鉄道フアン)は僅かで、乗客は殆どは一般の観光客だったと思われます。
午後、再度昼過ぎに乗車した下り列車では立ち客も出る賑わいでしたが、やはりそのほとんどが観光客でした。
かつては、東京方面からの高速バスや観光バスに観光客の大半を奪われ、自家用車や平行する路線バスの存在もあり地元の利用客も低迷し、銚子電鉄は何度も危機を迎えています。
しかしながら、今回の利用客の様子を見ると、「銚子電鉄に乗ること」が観光客の目的の一部となり、地元には欠かせない観光資源となっているようです。
勿論、会社としては2年連続で黒字になったものの、鉄道事業のみで存続することはできず、濡れ煎餅の販売等の鉄道外の収入で赤字を埋めてなんとか維持している状況ですが、このことがまた宣伝なり観光客を集めているようです。
南海からの譲渡車は来年(2024年2月頃)に導入される見込みで、そのときに再度銚子電鉄を訪問したいと思っています。